スキャグウェイ・トレイルヘッド〜プリ―ザン・キャンプ場

○出発地でひとまず一晩キャンプした翌朝、ひとり旅を楽しみにしてたはずなのになぜか気持ちが伴わず、とぼとぼと出発した。歩き出して1時間もたたないうちに、さっそくグリズリー(熊)に出くわしてしまう。前方20メートル先に木の影からひょこっと顔をだしたのは、親離れしたばかりのまだ少年っぽい(メスかもしれない。)感じの熊だった。前足を木に沿えて、不思議そうにこっちを見つめて立っている。
「クマぐらい、いるに決まっているじゃないか!」と自分に言い聞かせながらも、野生に生きる大きな動物の存在に驚きを隠せなかった。道沿いにその熊がいたので、実に困ったことになってしまった。
先に進めない!しばらく様子を見ていると、このやんちゃそうな熊は、道端の木の根元で何かを食べ始めた。声を出したり、手をたたいてこっちの存在をアピールしてみるが、いっこうに気づいてくれない。そのとき、この初めて出会う野生のクマに対して、根拠のない安全を感じた。関心がこっちにあまりないという様子だったのでその道をそのまま通りすぎることにした。はじめて会ったグリズリーに、なぜそんな風に考えたのか判らないが、直感的に大丈夫だと感じ、あまり深く考えずに直進して2メートルくらいまで近づいてみることにした。その時、クマが一瞬こちらの様子ををうかがった気がしたので、何気なく反対を見てしまった。こっちは、さも関心がないかのようにアピールをしたつもりだったが、彼の放つ動物臭が自身が吐く息で撒き散らされ、そこらじゅうたまらなく臭くて、このとき初めて恐怖感に襲われた。
「グリズリーに出会ったら決して接近しないで下さい」と言うレンジャー(森林警備隊員)のクマに対する対処方法を聞いていたのにもかかわらず、そのマニュアルが参考にはならなかった。だが、そういう判断をさせるぐらい生き物同士には、偶然接触する時には不思議なやりとりがあるのかもしれないと感じた瞬間でもあった。


グレーシャークリークで見つけたグリズリーの足跡、まん中が僕の登山靴の足跡。
              グレーシャークリークで見つけたグリズリーの足跡、まん中が僕の登山靴の足跡。

プリーザンキャンプ場で一泊することにした。ここまでは、わりとフラットな湿地帯と森林だった。翌日、さらに4〜5キロ行くと、森林限界を超えて、岩と苔だけの世界になる。特別な装備なしでの山歩きを「トレッキング」と僕は認識していたが、アラスカでのそれは、「ハイキング」に相当することに初めて気づく。


カナダ・アラスカでの安いビールさっぽろ一番のインスタントラーメン
       カナダ・アラスカでの安いビール                   さっぽろ一番のインスタントラーメン


○この当たり一帯はハイキングに出かける地元の若者を多く見かける。
若い女性だけで来る者、家族でやってきている者、カップルで来た人々によく出会った。僕は、家族で訪れている小学生くらいの子供を見かけたが、小柄な女の子でも、その子の荷物は、その子自身が背負っていた。親の教育にそういう妥協がないようだ。その子の体と同じくらいの荷物を背負って歩く少女の顔が、すでに一人前の顔つきだったのがとても印象深かった。大人達は、その子供のゆっくりと歩く速度にとことん付き合い、何日かかっても構わないといった姿勢だ。その歩行スピードでは全行程で一週間くらいかかるかもしれないと思ったが、それでも、彼女に出来る範囲のペースでの山行を家族が支えつつ進んでいる。おおらかに、そして強く育てていくのがアラスカ流なのだろうか。


トレッキング中に知り合った親子トレッキング中に休憩した所
                 トレッキング中に知り合った親子

摘み取って集めた野生のレッドベリーの果実
         摘み取って集めた野生のレッドベリーの果実。


○野生のレッドベリーやブルーベリーを摘み取り、食べながら進んでいくと、高度が増すにつれ空気の質が変わってきたことを感じる。 
やがて、急登のガレ場が雪をかぶって待っていたが、この峠がチルクート・パス(峠)だ。そこを、登りつめると峠の向こうから目が覚めるような風が通り抜けた。
そこには、さえぎることのない荒野が僕の視界に広がる。ゴールドラッシュのころ、金鉱堀たち(ガリンペイロ)は夢と希望を抱きながらこの峠を越えて、ドーソンへとむかって吹く風に誘われるように歩いたのだろうか。
このチルクート・パス(峠)は国境線であり、その先からがカナダだった。景色は一変し、雪渓から溶け出した水がコバルトブルーの湖となっては、流れが細くなり、また湖となっては、細く流れることをくりかえしていた。
僕も、追い風に押されながら、その不毛の大地を前に歩いていった。ディープキャンプ場でテントを張りキャンピング。
その日の幕営地を決めたのは夕方の6時だったが、白夜のせいでまだ西日にすらなっていなかった。キャンプ場では各地から来たキャンパー達みんなが加わって輪になって雑談する。ろくに英語も話せない僕は、あたりまえのようににそこの輪に入れるのがうれしかった。

夏が終わればアルパインツンドラは、紅く染まって秋とともにすぐに冬がくる。デナリ・アイルソンにて!
    夏が終わればアルパインツンドラは、紅く染まって秋とともにすぐに冬がくる。デナリ・アイルソンにて!

小さな沢が流れ出して本流へと注ぐ。デナリ・アイルソンにて!
         小さな沢が流れ出して本流へと注ぐ。デナリ・アイルソンにて!


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ユーコンの川旅ではイクラをたくさん食べました。写真は拾ったサーモンから取り出したイクラを食べているところです。

自己紹介
名前    杉田
年齢     27歳
職業 税理士志望で勉強中。
趣味 フリークライミング
  アウトドア・MTB
居住地   福岡市

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