手作りイカダ(筏)製作(2)

 たまたまキャンプ場で知り合ったナオさんに手作り筏(イカダ)を作るための設計のアドバイスをしてもらい、手作りイカダでも絶対に壊れない頑強さと、絶対に沈まない浮力を維持することが設計の主格であると考えた。
自作イカダでユーコン川を川下りするためには、川の中のちょっとした瀬や岩壁で衝撃を受けても壊れないイカダ作らないと、筏に乗った状態で修理が出来るほどの大工仕事やアウトドアの腕前ももっていないし道具もない。そして流れの速いポイントで筏はフットワークがないので着岸できるかわからないし、熊が接近しそうな状況も考えて手作り筏(イカダ)の上にテントが張れて寝泊りできるくらいのサイズにしようと思った。
一人で行動するかぎり川で沈したら、PFD(ライフジャケット)もなく、荷物の回収も困難だ。もし沈した場合、奪われた体温をしっかり取り戻せる状況があるかも定かでないし、一旦ドーソンを出発してしまえば、167km先のイーグルという町しかない。


大きく手を振って別れを次げ、ユーコン川を下り、アサバスカン・インディアンの妻のもと「ビーバー」まで行くピア。
手を振って別れを次げ、ユーコン川を下り、アサバスカン・インディアンの妻のもと「ビーバー」まで行くピア


 この条件を満たすためには、イカダを作るための木がたくさん必要であり、強力な浮力となるものが必要だった。幸いなことに、キャンプ場付近の川岸には無数の流木が流れ着いており、手作りイカダを作るための木材には恵まれていた。多くの浮力を持たせようと三重構造にして下の材木が水圧を受けることで一番上の材木の上に水が浸入してこないような設計と施工デザインにした。
 自作筏(イカダ)の浮力は当初、タイヤを四隅にくくりつけて浮力を得ようと考え、ドーソン中の車の整備屋さんに尋ねて回ったが手に入らなかった。次に牛乳の入れ物に目をつけた。ドーソンの牛乳はプラスチック製の容器で取っ手がついていたので、大量に集めて紐でくくればいいのではないかと思ったが現実的に考えると強度に不安があったし、牛乳をそんなに買い占めて片っ端から飲んでいたら、筏が完成する前にお腹を崩すこと間違いなしであった。

 どうしたものかと考えあぐね、頭をひねりながらキャンプ場受付のキャビンの辺りを歩いていると、ドラム缶が目に飛び込んでくる。早速に交渉して譲ってもらえないか頼んでみた結果、5ドルくらいで売ってくれることになった。
ふたがしっかり閉まっているドラム缶を2缶、入手できた。
流木があるところをベースキャンプにして、この頼もしい浮力であるドラム缶を転がしながら運んだ。これでようやく手作りイカダができる。


ある日僕のキャンプサイト近くで出会ったピアのブルーシートで作ったテント。ケベック出身のログビルダー、ピアの姿
     ケベック出身のログビルダー、ピアと出会う。
イカダの基礎を固定する。筏の土台にフロートとしてドラムカンを取り付けるのに苦労。
     イカダの基礎を固定しているところ。                         ドラムカンのフロート取付に苦心する。
僕の手作りイカダが完成間近。僕の手作りイカダ製作にアドバイスをしているピア。
  完成が近い僕の手作りイカダ。                          僕の手作りイカダ製作にアドバイスしているピア


まず完成した筏をユーコン川に浮かせるためのレールとしての土台の丸太を敷く準備にかかる。
その上で手作り筏を作っていても万一の備えとして、作業中にはずみで自作イカダがレール上を滑ってユーコン川まで動いていかないようロックする止め木も用意する。
雨がひとしきり降り、気温も下降ぎみだったので筏製作は中断して、食料を川むかいの店で買いものに行くことにする。

ユーコン川を川下りするためのいかだ製作に着手して3日目、このとき僕はピアという男に出会う。
ある日の事、僕はキャンプ場に戻ったところ、僕のベースキャンプの近くに見慣れないブルーシートで作ったテントがあるのに気づく。
近づきながら覗き見すると、ブルーシートの中心には3本の枝木がメインポール代わりになっていて、中では、シートが燃えない程の小さな焚き火をしている髭面の男がTシャツ一枚でくつろいでいる。
男は虫歯だらけの歯を見せて笑顔で挨拶をかえしてきた。しばらくたった後、男は外で巨大な焚き火を起こし始めた。
焚き火に丸太を5、6本突っ込んだその男は、小振りの木々を集めては斧で枝を掃い、適当なサイズに切り出していく。僕はその男の斧使いの慣れた手付きに目を見張る。
日本では斧より鋸(のこぎり)をつかう習慣があるが、男は斧だけで木を好きな形に整形していく。

翌日、僕は大まかに太さのそろった丸太を選んで素材にして三重に積み上げていき、のこぎりで丸太を三角に削り、ロープで丸太同士を縛る。
さらに20センチくらいの大きな釘を斜めに数箇所打ち込み、借りてきた斧で丸太の枝を掃う。
手作りイカダ本体の両脇に、ドラム缶を木の枠で囲ってロープで固定する。
最後に舵取りが出来るようにパドルを作って自作イカダの後ろに取り付けた。
やっと出来上がった手作りイカダを眺めて、われながらよく出来たものだと自画自賛、ビール片手に乾杯したいくらいであった。


一方、こんな作業の繰り返しをしていたとき、それを見ていたピアはあっという間に斧で丸太を次々にカットしながら組み立てて自分の筏を作りあげてしまい、仕上げにレジャー用のかわいいエアボートをイカダの上に乗せて完成。そばにいた僕は唖然とするばかり。これも経験の差なんだろうかと、自問自答する。



ユーコン川を川下りして試し運転中の僕とイカダ。
           ユーコン川を川下りして試運転中の僕とイカダ。

ピアとの会話のなかでわかったことは、彼はケベック出身のログビルダーらしく、いまからイカダでユーコン川を下り、アサバスカン・インディアンの妻のもと「ビーバー」まで行くのだという。8月下旬にさしかかり、日に日に冷え込むような時期だというのにナップサック一つしか持たない薄着の装備の男には考えられない一言だ。自分のイカダは重量級だが、ピアのイカダはホントに軽くてフットワークがある。
そんな手製のイカダで数百キロ離れたところまで気軽な気持ちで行こうと考えていることに驚いてしまった。食事を一緒に済ませ、僕に手を振りながらスタートしたピアの姿が印象深かった。


 手作り筏の製作に段取りも含めて4日間も費やしたため、ドーソンには一週間ほども滞在することになる。


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ユーコンの川旅ではイクラをたくさん食べました。写真は拾ったサーモンから取り出したイクラを食べているところです。

自己紹介
名前    杉田
年齢     27歳
職業 税理士志望で勉強中。
趣味 フリークライミング
  アウトドア・MTB
居住地   福岡市

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